2018年10月15日お知らせ
各 位
公益社団法人日本監査役協会 会長 岡 田 譲 治
先ごろ某銀行の不祥事に関して、第三者委員会による調査報告書が公表されました。
調査報告書では、常勤監査役の監査の実態につき多くのページを割いて言及されており、
・不祥事の兆候を知りながら適切な調査をしなかった
・経営会議での重要な決定や経営会議での決定を非公式会議で覆す等の事実を知りながら、
取締役会や監査役会で報告をしていない
・監査が形式化し、監査役監査基準の定めに沿った監査が実施されていない
等の厳しい指摘がなされ、善管注意義務に違反するとされています。
今回の事案は、不祥事への経営層の関与が黙認されるなかで、内部統制システムが無効化した典型例と言えます。監査役等の最大の責務は「取締役等の職務執行」と「内部統制システムの相当性」に関する監査であり、その責務を果たすためには、不正等の兆候に直面した場合、躊躇せずに経営陣に対して毅然とした態度で臨む覚悟が求められます。
多くの監査役等の方々は期待されている職責を十分に果たしていると確信しておりますが、今回の件を機に、このような不祥事が今後決して起きないよう、今一度自らの責務を謙虚に振り返るとともに引き続き実効性ある監査に努め、監査活動のより一層の充実を図っていただきたいと考えております。
なお、事業が複雑化且つグローバル化した現在、適切且つ実効性のある監査を行うためには、監査を行う他の機関との連携、いわゆる三様監査の間での連携は重要であり、監査役等の方々には、三様監査の先頭に立って監査の実効性を高めていただくとともに、調査報告書でも指摘があるように、社外役員との間で緊密な連携関係を構築するよう努めていただきたいと考えています。また、十分なスタッフを確保することは、監査の実効性向上のためには必要不可欠であります。これらに限るわけではありませんが、監査の実効性向上に向けて積極的な対応を行うことが社会の求めるところであり、監査役等の責務を果たすためには経営陣に対して適切な対応を求めることもためらうべきではないと考えます。
当協会と致しましても、今回の不祥事を真摯に受け止め、社会の期待に応えるべく、監査役等の職務をしっかりと果たしてもらうよう一層の支援を行ってまいります。
以 上