地球温暖化対策の推進、コロナ禍を契機とした働き方の変化、革新的技術の開発等、経済・社会の構造変化が急速に進展する中で、投資家を含めたステークホルダーの要請にも応じて、我が国のコーポレート・ガバナンスはさらに進化しております。そして、これまでの改革を通じ、会社法に基づき取締役等の職務の執行の監査を担う監査役・監査委員・監査等委員・監事の活動が、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上につながるとの認識から、監査役等に対する役割期待も高まっております。
公益社団法人日本監査役協会は、1974年の設立以来、監査役等に対する支援を行ってきており、2024年5月に設立50周年を迎えることを機に、タグライン「進化するコーポレート・ガバナンスの担い手として」を定めました。これは、監査役等が様々な変化に適切に対応するとともに、改めて2011年に定めた「監査役の理念」及び「日本監査役協会の理念」に立ち戻り、公正不偏の姿勢を貫き、監査活動を通じて企業統治体制の確立と運用を主体的に担い、広く社会と企業の健全かつ持続的な発展に貢献していく、そして、コーポレート・ガバナンスの進化とともに、その担い手の一員である監査役等も当協会も共に進化していくのだという思いを込めたものです。
主要な活動は、監査役全国会議及び多種多様な研修会・講演会、会員相互の意見・情報交換の場としての実務部会等の開催を通じ、監査役等が必要な知識を習得し、監査品質の向上を図るための自己研鑽の機会を提供することであり、また、監査役等のための「監査基準」をはじめとする、監査役等の皆様が職務を遂行するに当たっての行動指針やベストプラクティスを提供することです。さらに、会計監査人や内部監査部門との連携、企業不祥事防止、企業集団における監査、サステナビリティ課題に対する関与等、様々な監査実務に関する研究・調査を行い、報告書や実務指針等として取りまとめ提供するほか、中小規模会社の監査役等や監査役等のスタッフ向けの活動も行うなど、多様化する監査役等のニーズに応えるべく努めております。
その他当協会では、監査役等に係る諸制度の動向を注視しており、法務省、経済産業省、金融庁、東京証券取引所や日本公認会計士協会等の各種委員会に参画するなど、監査役等のための環境整備や監査役等に対する理解の促進のため、積極的な意見提案を行っております。
現在、当協会には、約7,700社、約9,600名の方々に会員としてご登録いただいております。今後も協会活動の充実に努めてまいる所存です。会員の皆様には引き続き協会活動へのご理解・ご協力をお願いするとともに、未加入の監査役等の皆様には、ご入会のご検討をお願いいたします。
2023年11月
公益社団法人日本監査役協会
会長 塩谷 公朗