監査役制度

監査役制度について

4.監査委員・監査等委員について

POINT
監査委員や監査等委員は、取締役として、取締役会決議に参加し、会社に対して善管注意義務を負います。
監査委員や監査等委員には監査役のような独任制はなく、職務権限は基本的に監査委員会や監査等委員会に帰属します。

ここでは、指名委員会等設置会社の監査委員及び監査等委員会設置会社の監査等委員について、監査役(会)設置会社の監査役との相違点を中心に説明します。なお、監査役(会)設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社という三つの機関設計の相違については、図解もご参照ください。

「機関設計の図解」

(1)監査委員(指名委員会等設置会社)

監査役とは異なり、監査委員は取締役です。

指名委員会等設置会社においては、指名委員会、監査委員会、報酬委員会が設置され、各委員会は、取締役会が取締役の中から選定した3人以上の委員で構成され(兼任も可)、その過半数が社外取締役(会2)でなくてはなりません。任期は全ての取締役が1年です。また、各委員会には常勤者の設置は義務付けられていません(会400)。

指名委員会等設置会社では、取締役会は経営の監督を担い、別途取締役会の決議により選任された執行役が具体的な業務執行の決定を行い、会社の業務の執行を担います(会416、418)。そのため、監査委員会の監査対象は執行役と取締役の双方となります(会404)。

また、監査委員は、取締役として取締役会の決議に参加します。

監査役(会)設置会社においては、個々の監査役に監査の権限が帰属していますが、指名委員会等設置会社においては、監査の権限は、基本的には監査委員会に帰属し、いわゆる「独任制」は採られていません。監査の権限は、監査委員会が選定する監査委員が行使します(組織監査)。

監査委員会は、監査報告を作成しなければなりません。なお、指名委員会等設置会社では、会議体である監査委員会が決議により一通の監査報告を作成するものとされており、個々の監査委員が監査報告を作成することは求められていません。

(2)監査等委員(監査等委員会設置会社)

監査役とは異なり、監査等委員は取締役です。

監査等委員は、監査等委員でない取締役と区別して、株主総会の決議によって選任されます(会329、新任監査等委員ガイドQ1)。監査等委員会は3人以上の委員で構成され、その過半数は社外取締役(会2、新任監査等委員ガイドQ1、Q5)でなければなりません(会331)。監査等委員でない取締役の任期は1年ですが、監査等委員である取締役の任期は2年です。なお、常勤者の設置は義務付けられていませんが(会331)、当協会の調査によると、常勤の監査等委員を設置する会社が多いようです。

監査等委員会設置会社には、指名委員会等設置会社のような役員としての執行役は設置されておらず、監査等委員会の監査対象は取締役の職務執行となります(会399の2)。

また、監査等委員会は、監査等委員である取締役以外の取締役の選任、解任及び辞任並びに報酬等について株主総会での意見陳述権が付与されています(会342の2、361)。意見陳述権は、業務執行者に対する監督機能の強化を目的に監査等委員会に付与された独自の権限です(新任監査等委員ガイドQ19)。このように、監査等委員会は、取締役の職務執行に対する監査を担う機関ですが、意見陳述権のような独自の権限を有し、一定の監督機能も担っています(新任監査等委員ガイドQ2)。

また、監査等委員は、取締役として取締役会の決議に参加します(新任監査等委員ガイドQ1)。

監査役(会)設置会社においては、個々の監査役に監査の権限が帰属していますが、監査等委員会設置会社においては、監査の権限は、基本的には監査等委員会に帰属し、いわゆる「独任制」は採られていません。監査の権限は、監査等委員会が選定する監査等委員が行使します(組織監査)(新任監査等委員ガイドQ2)。

監査等委員会は、監査報告を作成しなければなりません。なお、監査等委員会設置会社では、会議体である監査等委員会が決議により一通の監査報告を作成するものとされており、個々の監査等委員が監査報告を作成することは求められていません(新任監査等委員ガイドQ17)。

項目 監査役 監査委員 監査等委員
選任方法 株主総会で選任 株主総会で選任された取締役の中から取締役会で選定 株主総会で、監査等委員以外の取締役と区分して選任
監査対象 監査対象は、取締役の職務執行 監査対象は、取締役と執行役の職務執行 監査対象は、取締役の職務執行
監査権限の帰属 監査権限は、個々の監査役に帰属(独任制) 監査権限は、監査委員会に帰属(組織監査) 監査権限は、監査等委員会に帰属(組織監査)

なお、一般的に組織監査においては内部監査部門による監査を活用するといわれていますが、監査役(会)設置会社においても内部監査部門との連携は重要であり、三つの機関設計のいずれであっても、その重要性に相違はありません。

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